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梅色夜話



■蘭丸特集 その四■

◎『朝野雑載』より

 信長公御座の間の窓に、衝揚の蔀(しとみ)あり。「是をおろせ」とおおせ付けらるる。
 おらん承り、小さき竹の杖を持ち、のびあがりて、蔀の上を捜し見るに物あり。高くふまえ物をして見ければ、大茶碗に水を入て揚げてあり。しづかに是をおろし、さて、衝揚の蔀をおろす。
 もしその心なくして蔀をおろさば、茶碗もわれ、水もこぼれて、不首尾なるべきに、念を入れたる故、あやまちなし。
 是はおらんをためし御覧ぜんとて、信長公のなされおかれたる事なりといへり。




 また出たよ、信長さまのお蘭試し!!
 蔀の上に水の入ったお茶碗をおいて、「蔀をおろせ」と命令する。普通は気がつかずに、水をこぼしてしまうところなのですが、お蘭は違う! 踏み台まで用意してしっかり上方確認。静かにお茶碗を退け、みごとに蔀を下ろしたのでした。

 う~ん、お蘭は毎回、蔀を下ろす度に、こんな念入りなことしてたんでしょうか。だとしたら、ものすごいお気遣いのお小姓ですが……。
 しかし、この文章全体からワタクシが感じ取ったイメージは、『失敗してびしょぬれになったお蘭をからかってやろうと、いたずらを仕掛けたものの、お蘭にバれ(たぶんウキウキが顔に出てたんだと思います)、「いや、お前を試そうとしたんだよ、ハハハ」と言い訳をする信長さま』でした。
 そもそも、お食事のお茶碗がひとつ足りないってところから、聡明な蘭丸さまは、お察しになっていたのだと思います。



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