梅色夜話
■軽口衆道往来 特殊事例！？■
＊下ネタ警報発令中＊ こんなこともあるのね〜なちょっと珍しい事例集です。
◎鹿の子餅（「芳町」）
鳶(トビ)の者、はじめて野郎を買った。床に入る時になって、若衆(＝野郎)に向かい、
「モシ、ちっと大屋へでもあづけやせうか」
＊このお話は＊
「尻を大屋へ持ち込む」という成語があるそうです。「尻を持ち込む」は、問題の処理を求めるとか、後始末を求めるとかいう意味ですが、ちょっと意味不明でしょうか。床に入ったものの、これからどうすればいいのか分からなかった、ということでしょうか。
＊ポイント＊
まあ、話の内容は置いといて、ここで言いたかったのは、陰間・野郎を買いにくるお客さんには、鳶職のにーちゃん(じゃないかもしれないけど)もいる！ ということです。
「はじめて買った」とあるので、滅多にはこないかもしれません。仕事があがって親方からぽんと気前良く給金をいただく、「今夜はパーッと」「おい、芳町にでも行ってみるか！」……そんな感じで興味本位で遊びに来たのかもしれません。それでもいいじゃないですか。中にはハマってしまったヤツもいたかもしれない。あの子会いたさに仕事に精を出す貧乏職人ｖｖｖ 妄想の種ゲットだぜ！！
ちなみに「芳町(よしちょう)」は、陰間茶屋が多く立ち並んでいた場所です。
◎鹿の巻筆（「きかぬ奴の衆道」）
＊文中、分からない語句があってもスルーの方向でお願いします；
山の手(屋敷町があった)のあたりに、さる屋敷へ出入りする元結売りの若衆がいた。
またその屋敷に、「あっ」という間があればすぐに手を出す奴(やっこ＝武家の奴僕)がいた。なんとかしてこの若衆をと狙っていたのだが、機会がないのでどうにもならない。
あるとき、かの若衆がやって来たので、いろいろにもてなして、
「今日は雨も降りさうなほどに、あきなひもなるまじ。われら部屋へきたり給へ。
（今日は雨も降りそうだから、商売もできないだろう。我々の部屋においでなさい）」
と連れて行き、そのまま庭へ押し倒してやると、若衆はこの道(男色)がきらいだったので、
「きゃつに一本させん。（こいつにいっぱい食わせてやろう）」
と思い、素股(！！…スルーで)をとらせてやった。
奴は血気にまかせてやったので、砂の中へ三寸(約９センチ)ほど作蔵(…え〜っと；)をつっこんでしまい、砂だらけになってしまった。
奴は若衆に向かい、
「さてさて其方はずいぶんたしなみがわるい。かならずかならず今よりして、蒟蒻を薬食いにしやれ。
(さてさて、あなたはずいぶんと身だしなみへの心がけが悪い。必ず今から、こんにゃくを薬としてお食べなさいよ)」
と言った。
＊このお話は＊
こんにゃくを食べると体にたまった砂を取り去るという俗信があったそうです。奴さんは、若衆さまのカラダの中に砂があったと思ったようですね・・・。
＊ポイント＊
「奴」は総じて、血気盛んで、こういう欲望が強くて、しかもそれを時には乱暴な手段で満たそうとする存在として書かれることが多いです。
そしてその被害者になるのが、屋敷出入りの物売りの少年や、店のおつかいでやってくる丁稚くん。なかにはそういう商売を兼ねている物売りもいますし、お金をあげて…ということもあったみたいです。むむう。
さてさて、この被害者(？)の若衆さまは、珍しく「男色嫌い」でした。それにしてはすまたがじょうず……きっとこういうことが何度もあって、もうイヤになっていたんでしょう。この子に限らず人間いろいろ、男色嫌いな子もいて当たり前ですよね。
◎きのふはけふの物語(上・捨60)
美しき坊主、伊勢参りをする。宮川(三重県南部)にて、川渡しに手をひかれて渡る。
川渡しはひときわ心の汚らわしい男であって、この坊主を比丘尼(びくに＝尼僧)かと思い、川の真ん中で、むずと手をやってさぐった(…いわずもがな)。坊主は「これは！」と言った。このとき川渡しは驚いて、
「いや、ここなへ×は大にら("まら"の誤写か)ぢゃ。（いや、あなたの女×はらっきょうだ。OR 大魔羅だ）」
と言った。互いに笑って、軽くたたきあった。
＊このお話は＊
最後、よくわからない友情が芽生えてますが……。
＊ポイント＊
美しいお稚児さまが坊主になるわけですから、当然、美坊主もいらっしゃるわけです。それにしても、女と見間違われるほどの美坊主……。稚児時代は大変だったでしょうね。剃髪の時には数え切れないほどの人間が涙したことでしょう。今もひそかに狙われているのかもしれません。
＊＊まとめ＊＊
通常のBL古典とはちょっと違ったＣＰでしたが、いかがだったでしょうか。個人的には、「鳶の野郎買い」に興味を持ちました。陰間さん的には、遊びなれててお金持ちな大店の旦那と、野暮だけど仕事で鍛えたイイ身体の兄さんとでは、どっちがテンション上がるんだろう。
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