■『武道伝来記』男色譚一覧■ |
巻一 |
一、心底を弾琵琶の海 形も情も同じ美童の事 |
敬愛する主人のために先腹を切った采女と左京。家中が二人の武辺に感じ入るなか、左京に横恋慕していた為右衛門は……。 |
ニ、毒薬は箱入の命 人質は夢の内蔵の事◆ |
幼い市丸は、父親に恨みを持つ男に人質として捕らえられるが……。 |
巻三 |
一、人差指が三百石が物 小道具売に替姿の事 |
仁七郎は念者を殺した佐太右衛門を追うが、佐太右衛門は潜伏先で別の男と果し合いをすることになっていた。 |
ニ、按摩とらする化物屋敷 うてど手のない小鼓の事 |
念者の病平癒を願い八幡宮に参詣する折、偶然に念者の追う敵に出会った兵之助は、ひとり敵に勝負を挑むが……。 |
三、大蛇も世に有人が見た様 竹刀は當り眼の事 |
父親を馬鹿にされた瀧之助は、なんとか恨みを晴らそうとたくらむ。 |
四、初茸狩は恋草の種 義理の包物心のほどくる事◆ |
若衆・半之丞とその念者で町人の藤内、さらに半之丞に恋慕する伴蔵。三人の思惑がすれ違い、悲劇を生む。 |
巻五 |
ニ、吟味は奥嶋の袴 意気地を書置にしる事◆ |
若衆・梅之助を我が物にせんとする若殿に、侫臣・新六は梅之助の念者を亡き者にすることを進言する。 |
巻六 |
四、石臼引べき埴生の琴 鴛鴦の剣衾をとをす事 |
愛しい念者が父の敵だと知った庄之助は、念者・専八に涙ながらに心底を語る。愛し合う敵同士の悲しい最期。 |
巻七 |
ニ、若衆盛は宮城野の花 義理に身捨つるはほめ草の事 |
小姓・勝之助は、振られた恨み晴らしに切りかかってきた男を返り討ちにする。この事件を発端に、事態は思わぬ方向へ……。 |
巻八 |
ニ、惜や前髪箱根山颪 涙の時雨に木綿合羽の事 |
一刻も早く息子を元服させたい父親。いまだ若衆の前髪を残したい念者は、若衆の元服をかたくなに拒む。 |
*漢字の表記は読みやすいものに変えた箇所があります。 |